伏姫から生まれた、仁義礼智忠信孝悌の八つの数珠玉のうち、六つの行方までがわかった。
すなわち、犬塚信乃の孝の玉、犬田小文吾の悌、犬飼現八の信、犬川荘助の義、犬山道節の忠、犬江新兵衛の仁、それぞれに相応しい字をもつ不思議な玉として、各人が生まれた時より持っていたのだ。皆、牡丹の花のような痣を体に持ち、苗字には犬の字が入っている。
行徳では、信乃、現八、小文吾、新兵衛、四犬士が揃った。伏姫の許嫁であった、ちゅ大法師は、犬士の主筋・里見家には、玉梓という悪女の呪いがかけられているため、現世の女人にも気を付けるよう言い残し、旅に出る。
幼子の犬江親兵衛は嵐にさらわれ、安房の方角へ消えた。
信乃、小文吾、現八は、巣鴨庚申塚に行き、主人殺しの濡れ衣をかけられた荘助を救い出し、四犬士揃って上野国荒芽山目指して落ちのびる。
四犬士たちは、上野国白井城下で上杉定正の軍勢に斬り込み犬山道節の敵討ちに助太刀し、ここに五犬士が揃ったが、荒芽山で敵に囲まれ、またばらばらに散っていった。
その後、犬田小文吾は武蔵国へ入り、並四郎という男を助けたが、夜中に命を狙われ、これを殺す。
並四郎の女房船虫は、小文吾に詫びとして、立派な横笛を渡したが、この船虫がどうやら稀代の悪女のようである・・・。